2026年10月12日

こんにちは。西新宿、都庁前の歯医者「医療法人社団歯友会赤羽歯科 新宿診療所」の歯科医師の飯塚です。
今回のコラムでは、インプラント治療後のメインテナンスの重要性と、その方法について詳しくご説明します。
【過去のインプラントに関する記事はこちら】
「インプラントってなに?」
「インプラントは誰にでもできる?」
「インプラント治療における歯医者の選び方」
「インプラント埋入前後の注意点と手術後の歯磨きの方法」
インプラントを長持ちさせるために大切なメインテナンス
インプラントは、天然歯に近い噛み心地や自然な見た目を得られることから、多くの方に選ばれている治療方法です。
しかし、「インプラントを入れたら、もう歯のように何もしなくてよいのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
実際には、インプラントは治療後のメインテナンスが非常に重要です。
インプラントをできるだけ長く快適に使っていくためには、毎日のセルフケアと歯科医院で定期的に行うプロフェッショナルケアの両方が欠かせません。
ここではなぜメインテナンスが必要なのか、また具体的にどのようなケアを行うのかについてご紹介します。
なぜインプラントにメインテナンスが必要なのか?
インプラントは人工物であるため、天然歯とは異なる特徴があります。
天然歯の周囲には歯根膜や歯肉などの組織が存在し、外部からの刺激や細菌に対して一定の防御機能を備えています。一方、インプラントには天然歯と同じ構造や生体防御機能がありません。
そのためインプラントの周囲にプラーク(歯垢)が蓄積すると、インプラント周囲の組織に炎症が起こるリスクがあります。
代表的なものが、
・インプラント周囲粘膜炎
・インプラント周囲炎 です。

インプラント周囲粘膜炎とは?
インプラント周囲粘膜炎は、天然歯でいう歯肉炎に近い状態です。
インプラント周囲の歯肉に炎症が起こっていますが、現時点では炎症がインプラントを支える骨にまで及んでいない状態です。
この段階で適切なセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアを行うことで、炎症の改善が期待できます。
しかし、炎症を放置してしまうとさらに深い組織へと進行する可能性があります。
インプラント周囲炎とは?

インプラント周囲炎は、天然歯でいう歯周炎に近い状態です。
炎症がインプラント周囲の歯肉だけではなく、インプラントを支えている顎の骨にまで及び骨が吸収されてしまいます。
進行するとインプラントを支える力が弱くなり、インプラントの動揺や場合によってはインプラントを撤去せざるを得ない状態につながることがあります。
また、インプラント周囲炎によって一度失われた骨を完全に元の状態へ戻すことは容易ではありません。
そのため,症状が出てから治療するのではなく、炎症を起こさないように予防することが非常に重要です。
ご自身で行う「セルフケア」
インプラントを長持ちさせるためには、毎日のセルフケアが基本となります。
歯ブラシ

インプラント周囲の汚れ(プラーク)を除去するためには、正しいブラッシングが大切です。
ポイントは以下の通りです。
・歯ブラシを小刻みに動かす
・強い力で磨かない
・インプラント周囲に毛先がしっかり当たるようにする
・インプラントだけでなく、残っている天然歯もしっかり清掃する
歯ブラシを大きく動かすと細かい部分に毛先が届かず、磨き残しが生じやすくなります。
また、歯ブラシを強く握るとブラッシング圧が強くなりやすいため、鉛筆を持つように軽く握る(ペングリップ)ことを意識するとよいです。
インプラント周囲は形態が複雑で、通常の歯ブラシだけでは清掃しにくい部分があります。
そのような場合には、
・タフトブラシ
・歯間ブラシ
・デンタルフロス
などを使用するとより細かい部分まで清掃しやすくなります。
タフトブラシ

タフトブラシは毛束が小さく、先端がコンパクトになっている歯ブラシです。
通常の歯ブラシでは毛先が届きにくい、
・インプラントと歯肉の境目
・奥歯の奥側
・歯並びが複雑な部分
・被せ物の周囲
・インプラント周囲の細かな部分
などをピンポイントで清掃するのに適しています。
インプラント周囲は、歯ブラシを大きく動かすだけでは毛先が届きにくい場所があります。タフトブラシを使って、汚れが残りやすい部分を丁寧に清掃することがポイントです。
歯間ブラシ

歯間ブラシは、歯と歯の間の汚れ(プラーク)を除去するためのブラシです。
インプラント治療後は、インプラントと隣の歯との間やインプラントの周囲にスペースができることがあります。そのような部分は通常の歯ブラシだけでは清掃が難しいため、歯間ブラシが有効です。
ただし、歯間ブラシにはさまざまなサイズがあります。
大きすぎるサイズを無理に入れると歯肉を傷つける可能性があり、反対に小さすぎると十分に汚れを除去できないことがあります。
そのため、ご自身でサイズを判断するのではなく歯科衛生士に適切なサイズを選んでもらい、正しい使い方を確認することをおすすめします。
デンタルフロス

デンタルフロスは、歯ブラシや歯間ブラシでは届きにくい歯と歯の接触部分などのプラークを清掃するために使用します。
特に天然歯の歯間部では、歯ブラシだけでは清掃しにくい場所の汚れ(プラーク)除去に役立ちます。
ただし、インプラントは天然歯とは形態が異なるため、すべてのインプラントに同じ方法でフロスを使用できるわけではありません。
インプラントの種類や被せ物の形態によって適した清掃方法が異なるため、使用方法については歯科医師・歯科衛生士から実際の使い方を指導してもらうことをおすすめします。
歯ブラシは定期的に交換してください
歯ブラシは、毛先が開いてきたら交換が必要です。
毛先が開いた歯ブラシでは歯やインプラント周囲に毛先が適切に当たりにくくなり、プラークを十分に除去できなくなることがあります。
交換時期は使用状況によって異なりますが、一般的には1か月程度を目安に交換するとよいでしょう。
特に毛先が早く開いてしまう方は、ブラッシング圧が強すぎる可能性があります。
電動歯ブラシという選択肢

普段から歯ブラシをしっかり当てられている方やブラッシング圧が強くなりやすい方には、電動歯ブラシを活用する方法もあります。
ただし、電動歯ブラシにもさまざまな種類があり、使用方法を誤ると歯肉を傷つける可能性があります。
そのためインプラントの状態に合わせて、歯科医師や歯科衛生士から使用方法についてアドバイスを受けるとより安心です。
歯科医院で行う「プロフェッショナルケア」
毎日のセルフケアに加えて、歯科医院で定期的にメインテナンスを受けることも重要です。
① お口の中のチェック
メインテナンスでは、まずインプラントやお口全体の状態を確認します。
主に次のような項目をチェックします。
・インプラント周囲の歯肉の発赤・腫脹・退縮
・プラークや歯石の付着状況
・出血や排膿の有無
・圧痛や違和感の有無
・インプラントや周囲組織の状態
・上部構造(インプラントの被せ物)の破損や摩耗
・スクリューやアバットメントの緩み・破折の有無
・噛み合わせの状態
必要に応じてレントゲン検査を行い、インプラントを支えている骨の状態や周囲組織の変化を確認します。
また、歯ぎしりや食いしばりなどによってインプラントや上部構造に過度な力が加わっていないかも確認します。
噛み合わせに問題がある場合には、必要に応じて咬合調整を行うこともあります。
② TBI(歯磨き指導)
TBIとは、歯科衛生士が行うブラッシング指導のことです。
インプラントを長く維持するためには、歯科医院でクリーニングを受けるだけでは十分ではありません。
毎日のセルフケアが適切に行われていることが非常に重要です。
そのため、患者さんのお口の状態を確認しながら、
・磨き残しが多い場所
・歯ブラシの当て方
・ブラッシング圧
・歯間ブラシやフロスの使用方法
・タフトブラシなどの補助清掃用具の使い方
などを確認します。
患者さん一人ひとりのお口の状態に合わせて、無理なく続けられるセルフケア方法をご提案することも、メインテナンスの大切な役割です。
③ クリーニング・PMTC
セルフケアだけでは取り除くことが難しいプラークやバイオフィルム、歯石などを、歯科医院で専用の器具を使用して除去します。
その後、歯の表面を清掃・研磨して、汚れが付着しにくい状態を目指します。
インプラントの被せ物そのものは天然歯のように虫歯になることはありません。
しかし、インプラント周囲や残っている天然歯にプラークが蓄積すると、インプラント周囲炎や虫歯、歯周病のリスクにつながります。
そのため、インプラントだけではなく、お口全体を健康に維持することが大切です。
インプラントを長持ちさせるために

インプラントは「入れたら終わり」の治療ではありません。
治療後も、
毎日のセルフケア + 定期的な歯科医院でのメインテナンス
を継続することで、インプラント周囲の健康状態を確認し、トラブルを早期に発見・対応することが重要です。
メインテナンスの間隔は、お口の状態やセルフケアの状況、噛み合わせ、歯周病のリスクなどによって異なります。
一般的には数か月に1回程度を目安とし、患者さんのお口の状態に合わせて歯科医師・歯科衛生士が適切な間隔をご提案します。
「痛くないから大丈夫」と自己判断せず、定期的にチェックを受けることで、インプラントだけでなく残っている天然歯も含めて、お口全体の健康を守っていくことができます。
インプラントを長く快適に使うためには、治療後のメインテナンスが欠かせません。
インプラント治療を受けた方、これから治療を検討されている方は、ご自身のお口に合ったセルフケア方法やメインテナンスの頻度について、ぜひ歯科医師・歯科衛生士にご相談ください。
インプラントのメンテナンスのことなら西新宿、都庁前の歯医者「医療法人社団 歯友会 赤羽歯科 新宿診療所」
監修
奥田陽介
東京歯科大学卒業
医療法人社団 歯友会 赤羽歯科 理事
新宿診療所 院長
斉藤 沙耶
日本歯科大学卒業
日本歯科大学大学院 口腔外科学 修了
歯学博士
新宿診療所 医局長
森田健斗
日本歯科大学卒業
日本口腔インプラント学会
日本顎咬合学会