2026年10月19日


「自分の口臭が気になる」「家族や友人から口臭を指摘された」「朝起きたときに口の中がネバネバする」など、口臭について悩んでいる方は少なくありません。
口臭は、単に「歯を磨いていないから起こる」というものではありません。舌の汚れ、歯周病、むし歯、口腔内の乾燥、唾液量の低下など、さまざまな原因が関係しています。
今回は、口臭が起こる仕組みから、ご自宅でできる対策、歯科医院で行うケアまで、専門的な内容を詳しくご説明します。
口臭の主な原因
口臭にはいくつかの種類がありますが、日常的に問題となる口臭の多くは、口腔内(お口の中)に存在する細菌が作り出す揮発性硫黄化合物(VSC)が原因です。
主な原因として、次のようなものがあります。
1.口の中の細菌による臭いの発生
2.唾液の減少による口腔内の乾燥
3.起床時や空腹時に生じる一時的な口臭
4.舌苔(ぜったい)
5.歯周病
それぞれについて詳しく解説していきます。
1.口の中の細菌がタンパク質を分解する
口の中には、非常に多くの細菌が存在しています。
剥がれ落ちた口腔粘膜の細胞、唾液、食べ物の残りなどに含まれるタンパク質を細菌が分解すると、その過程で臭いの原因となるガスが発生します。
特に代表的なのが「揮発性硫黄化合物(VSC)」です。
硫化水素:卵が腐ったような臭い
メチルメルカプタン:腐ったキャベツや玉ねぎのような臭い
ジメチルサルファイド:硫黄を含む独特の臭い
これらのガスが口の中で発生・蓄積することで、口臭として感じられます。
そのため、口臭対策では単に香りで臭いを隠すのではなく、臭いの原因となる細菌や汚れを減らすことが重要です。
2.唾液が減ると口臭が強くなりやすい
唾液には単に口の中を濡らすだけではなく、細菌や食べかすなどを洗い流す「自浄作用」や、口腔内の環境を整える働きがあります。
ところが、唾液の分泌量が減るとこの自浄作用が低下します。
すると口腔内に細菌やタンパク質がたまりやすくなり、口臭の原因となるガスも発生しやすくなります。
特に、
・起床時
・空腹時
・緊張やストレスを感じているとき
・口呼吸をしているとき
・水分不足のとき
などは口の中が乾燥しやすく、口臭が強くなることがあります。
3.起床時や空腹時の口臭
朝起きたときに「口臭が気になる」と感じる方は少なくありません。
睡眠中は唾液の分泌量が低下するため、口腔内の自浄作用も弱くなります。その結果、細菌や口臭の原因物質が増え、起床時は一日の中でも口臭が強くなりやすい時間帯です。
また、長時間食事をしていない場合も唾液の分泌や流れが減少し、口臭が強くなることがあります。
ただし、こうした「生理的口臭」は食事や水分摂取、歯磨きなどによって改善することが多く、必ずしも病気が原因というわけではありません。
4.舌苔(ぜったい)

舌の表面に白色~黄白色の付着物が見られることがあります。これを舌苔(ぜったい)と呼びます。
舌苔には細菌や剥がれ落ちた粘膜、食べかすなどが含まれており、口臭の原因となるVSCが産生される場所の一つです。
舌苔が付着しやすくなる背景には、口腔内の乾燥、唾液量の低下、清掃状態など、さまざまな要因があります。
5.歯周病
口臭の原因として特に注意したいのが歯周病です。
歯周病では、歯と歯ぐきの境目にプラーク(歯垢)が蓄積し、細菌による炎症が起こります。
歯周ポケットが深くなると、その内部に細菌や炎症によって生じた物質などが蓄積し、口臭の原因となるVSCが産生されます。
そのため、口臭が長期間続く場合や、歯ぐきから血が出る・腫れる・口の中がネバネバするなどの症状がある場合には、歯周病のチェックを受けることが大切です。
口臭を予防するためにできること
1.唾液の分泌を促す
唾液には口の中を洗い流す働きがあるため、唾液を十分に分泌させることは口臭予防につながります。
日常生活では、
・食事は規則正しく、よく噛んで食べる
・食事と食事の間が長くなる場合は、シュガーレスガムを噛んで唾液が出やすくする
・こまめに水分をとる
・鼻呼吸を意識し、口呼吸をできるだけ避ける
・十分な睡眠をとる
・ストレスや疲労をため込まない
などを意識してみてください。
2.唾液腺マッサージ

唾液は、耳の前にある「耳下腺」、顎の下にある「顎下腺」、舌の下にある「舌下腺」などから分泌されます。
唾液が出にくいと感じる場合には、これらの唾液腺をやさしく刺激する方法があります。
① 耳下腺マッサージ
耳の前から頬に指を当て、痛くない程度の力で円を描くようにやさしくマッサージします。
② 顎下腺マッサージ
顎の内側に指を当て、耳の下から顎の先に向かって、やさしく押していきます。
③ 舌下腺への刺激
両手の親指をそろえて顎の下に当て、無理のない範囲でやさしく押し上げます。
強く押す必要はありません。痛みがある場合は中止してください。
3.口腔内を清潔に保つ

口臭予防の基本は、口臭の原因となる細菌や汚れを減らすことです。
毎日の歯磨きに加えて、歯ブラシだけでは清掃しにくい歯と歯の間には、デンタルフロスや歯間ブラシを使用しましょう。
また、舌苔が多く付着している場合には舌ブラシを使用して舌を清掃することも有効です。
4.舌の清掃方法
舌は非常にデリケートな組織なので、強くこすらないことが重要です。
基本的には1日1回程度を目安に、舌の奥から手前に向かって、やさしく清掃します。
舌ブラシを水で濡らし、力を入れずに数回程度動かしてください。
「舌苔を完全に取り除こう」として強く磨くと、舌を傷つけたり、かえって刺激によって舌の状態を悪化させたりする可能性があります。
5.歯周病の治療を受ける
口臭が長期間続いている場合、単なる一時的な口臭ではなく、歯周病などの口腔疾患が隠れている可能性があります。
特に、
・歯ぐきから歯ぐきから血が出る
・歯ぐきが腫れている
・歯が以前より長く見える
・歯がグラグラする
・歯と歯の間に食べ物が詰まりやすい
・朝起きたときに口の中がネバネバする
・口臭を指摘されることが増えた
といった症状がある場合は、一度歯科医院で確認してもらうことをおすすめします。
6.食生活や生活習慣にも気をつける
ニンニクなど臭いの強い食品やアルコールなどは、一時的に口臭を強くすることがあります。
また、喫煙は口腔内の環境に悪影響を及ぼし、口臭の原因にもなります。
一方で、お茶などに含まれるポリフェノールには、口腔内の臭いに関係する成分に作用するものがあります。ただし、お茶を飲むだけで口臭の原因そのものが解決するわけではありません。
基本は、歯磨き・歯間清掃・舌の適切な清掃・歯周病の予防と治療・口腔内の乾燥対策です。
まとめ
口臭には、起床時や空腹時などに一時的に起こる「生理的口臭」と、歯周病などの口腔疾患が関係する口臭があります。
そして、その多くは口腔内の細菌が作り出す揮発性硫黄化合物(VSC)が関係しています。
口臭を予防するためには、
・唾液の分泌を促す
・歯磨きを丁寧に行う
・デンタルフロスや歯間ブラシを活用する
・舌を適切に清掃する
・歯周病を予防・治療する
・口腔内の乾燥を防ぐ
・生活習慣を整える
ことが大切です。
「口臭が気になるけれど、何が原因かわからない」という場合は、自己判断だけで対策するのではなく、まずは歯科医院で口腔内の状態を確認してみてください。
当院では、歯や歯ぐき、舌、口腔内の清掃状態などを確認し、口臭の原因を考えながら一人ひとりに合わせたケア方法をご説明しています。
口臭は、適切な原因を見つけて対処することが大切です。気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。
口臭のことなら新宿、西新宿、都庁前の歯医者「医療法人社団歯友会 赤羽歯科 新宿診療所」
監修
奥田陽介
東京歯科大学卒業
医療法人社団 歯友会 赤羽歯科 理事
新宿診療所 院長
斉藤 沙耶
日本歯科大学卒業
日本歯科大学大学院 口腔外科学 修了
歯学博士
新宿診療所 医局長
森田健斗
日本歯科大学卒業
日本口腔インプラント学会
日本顎咬合学会
